第13章 鉄の処女
雪山地帯をひたすら突き進むが、どこを見ても雪だらけの景色にゼロも他の男士達も次第に口数が減っていた。
「この寒さの中で野営か……まあ、ゼロを暖めてあげることが出来るわけだから、野営も悪くないかな?」
「こんな寒い中で裸になる気はないね。そもそも寝たら確実に死ぬだろっ!」
「……ちっ!」
舌打ちした、あの歌仙が。
山姥切は歌仙の意外なしぐさに驚いた。
だがゼロが野営せずに進むと言った。
つまり共寝しないのかと、ちょっぴりがっかりした自分の気持ちにも驚いたのだ。
「寒い……寒すぎる。歌仙、本当にこの……なんとか山にある港に向かえば、フォウがいるんだな」
「なんとか山……、ヴェルンシュタイン・オブ・ザ・ヴァイス・ノルデン山だよ。おそらくフォウは飛空艇で逃げている可能性が高い。なら、次は必ず港のある要塞へ逃げ込むはずだ」
ゼロは寒さで震えながら、体をさすっていた。
彼女は山姥切や歌仙に比べると薄着で寒そうだ。
「フォウ……もう逃がさない」
ゼロの頭の中はフォウを殺すことでいっぱいなのだろう。。
体をさすりながら、その目は遠く離れたフォウを見据えているようだった。
「なあゼロ、フォウと話し合い、しないのか?」
「しない」
「何故だい?話せば、分かり合えるかもしれないよ?姉妹だろう?」
「私は別にわかりたくないし、わかられたくもない」
これまで何度もゼロに聞いたことだが、やはり決意は固い。
自分の主を殺された歌仙も、その理由を知りたいのだろう。
歌仙はさらにゼロに問う。