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裏切りの女神R18G【刀剣乱舞×DOD3】

第5章 裏切りの審神者 ここから本編


ゼロと加州は数多の兵士達を殺していき、審神者達の元へと突き進んでいった。
加州は隣に立つゼロの横顔を見やる。
真白な衣装は返り血で赤く染まり、顔の所々にも血が付着している。

血に染まっていても、彼女は美しい。
この状況下でそう思ってしまう加州は、自分は狂い始めている、そう感じた。

「もうすぐだ。この先を行けば中心部に着くぞ」

そう言って加州の顔を見るゼロは、息一つ乱していない。
対して自分はどうだろう。
加州は刀を握る手にを力を込めた。

そんな彼らを嘲笑うかのように、弓矢の雨が降り注ぐ。
そして目の前の城門が開き、そこには多くの兵士が剣や槍を構えていた。

「……待ち伏せか、人気者はつらいな」

「ここは俺に任せて。ゼロは先に審神者達を殺しに行って!」

「ダメだ!清光、お前……もう力がっ!!」

やはり、ゼロは気付いていた。
加州の太刀筋が乱れてきていることを。
それでも、加州は強がってみせた。

「ははっ、俺がこんなヤツらにやられるとでも?」

ゼロは振り返って加州の顔を見ると、目を見開く。
何かを決意したかのような表情、こんな顔をしているときの加州には何を言っても無駄だ。
ゼロは悔しさで唇を噛み締めると、加州の襟ぐりを掴んで引き寄せた。

「……んっ」

噛み付くように、ゼロは加州に口付ける。
唇に吸い付き、舌を絡ませては、角度を変えて何度も深く舌を擦り合わせた。

「わかった……死ぬなよ」

刀剣男士と審神者が触れ合うことで、刀剣男士は傷を治すことができる。
今の口付けなら、もう少しくらい戦えるようになっただろうか。

ゼロに出来るのは、これが精一杯。
ここで、一緒に戦おうとは言えない
ゼロは加州に背を向けると、一気に駆け出した。

「……じゃあね、ゼロ」

ゼロの走り去っていく後ろ姿を見ながら、加州は悲しそうに笑う。
ちっとも優しくないゼロが見せた、ほんの少しの優しさ。

彼女は優しくないわけではない。今はただ、不器用なだけ。
加州は刀を構え直した。

「じゃ、おっぱじめるぜぇ!」

自他共に認める最強の刀剣男士、加州清光。
彼は数多の敵を前に、戸惑いも無く突き進む。
再び、不器用なゼロの元へ戻るために。

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