• テキストサイズ

お気に入り 【黒執事】

第10章 死神さん


「どこ行っちゃったんだろう…。」


せっかくアンダーテイカーがくれた物なのに。私の記憶探しにも、きっと必要なものだった。


「…」


下を向いて歩いていると、誰かにぶつかってしまった。


「!…す、すみませ……!?」


そこに立っていたのは、メガネをかけた男性。クロードだった。


「!…おや?」


目を見開き、私を見つめた。


「っぁ…し、失礼します…。」


悪いが彼には良い思い出がない。


「お待ちください。」

「!…」


腕を掴まれた。


「は、離してください…。」

「旦那様が、あなたにもう一度お会いしたいと言っておりました。」

「っ…。」(旦那様って…アロイスのこと…?)

「それに、私もあなたにお話したいことが」

「ま、またの機会に。」


私は微笑んで歩き出した。幸い、腕を強く掴まれていなかった。


「…はぁ…。」

「では、どこかでお茶などいかがですか?」

「わっ…!」


いつの間に…目の前に……。


「す、すみませんが…用事がありますので…。」

「それは急ぎの用事でしょうか。」

「っ…。」


このままだと、この人は諦めてくれなさそうだ。私は近くで匿ってくれる人を脳内で考えた。そして思いついたのがいまさっき出てきた葬儀屋だった。

私は早歩きでそこまで歩いた。そしてドアを開けた。


「おや?忘れ物かい?……お客さんかい?」

「こ、この人に用があるので。」(人じゃないけど…。)


私はクロードにそう言った。
/ 246ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp