第9章 ご褒美は?
「そ、そんなことないです…。」
目を合わせるのが怖くなり、泡立て機で生クリームを作った。
「ナツキ、その生クリーム、少し味見させていただきたいのですが…。」
「!…」(デジャヴだった…。)
セバスチャンが私を後ろから抱きしめ、耳元でそう囁いた。
やはり、この人は慣れない。
「…」
人差し指でクリームをすくい、セバスチャンの口元に運んだ。すると、セバスチャンは前のときより念入りに指を舐めた。
「!…//////」
早く終わってほしいと思った。心臓がもたない。
「…も、もういいですか…?」
「ん…っ…はい。ごちそうさまでした。」
リップ音が鳴り、セバスチャンの口が指から離れた。
セバスチャンの顔が見れなかった。
「ナツキ。」
「ま、まだ何か?」
「なぜ指で食べさせてくれたのですか?」
「え?だって……あれ?」
「私は指で食べさせてほしい。などとは一言も言っておりません。」
ニコリと微笑み、セバスチャンはそう言った。理解した瞬間、顔が熱くなった。
「し、仕事に戻ってください…!///////」
「はい。失礼します。」
その日、私はセバスチャンをいつも以上に避けた。でも結構しんどいもので…。
「…」
「ナツキ!これ、どこに置いておけばいいですか?」
「フィニ。えっと…ここ、かな。」
「ここですか?」
「うん、あ、もう少し右…。」
でも、時間は止まらない。