第9章 ご褒美は?
その日から、セバスチャンは私に今まで以上に過保護になった。
「ナツキ、それは私がやっておきますから。」
「ナツキ、どこへいくんですか?」
「ナツキ、怪我はありませんか?」
正直、ストーカーなのではないかと疑うほど。
「…届かない…。」
本棚の掃除をしているときだった。
「ナツキ、パフェ的なものが食べたい。」
「坊っちゃん。お仕事は終わったのですか?」
「……まぁ…な。」
「…」(絶対嘘ー。)
シエルもあのあと、何事もなかったかのように接してくれている。でも、仕事をしている最中も、視線を感じる。
「…セバスチャンさんに怒られますよ?」
「うるさい、早く作れ。」
「…わかりました。」
私は仕事を中断して、キッチンへ向かった。
「…」(この前のと同じのでいいかな。)
そう思い、作り始めた。
「おや、ナツキではないですか。こんなところで何をしているんですか?」
「!…」(この声は…。)
セバスチャン…。
「ぼ、坊っちゃんのおやつを作っていたんです。」
「そうでしたか。」
「…」(なんかデジャヴの予感…。)
会話は終わったのかと思った。でもセバスチャンはキッチンから移動しようとしない。
「き、キッチン、使いますか?」
「いえ。」
ニコリと微笑みそう言った。
「で、では、なぜお仕事に」
「ナツキ。」
「は、はい…?」
言葉を遮られた。
「私を避けていますか?避けていますよね?」
「!…」
バレていた。