第9章 ご褒美は?
「うわぁぁぁ!!!!」
「!…メイリ」
バリーン!!
ガラスが割れる音。またこの人は…。
「す、すみませんですだ!!!」
ティーカップをトレイに乗せているだけなのに、靴紐を踏んでティーカップを割ってしまった。
「怪我はない?」
「は、はいですだ!」
「どこに持っていくつもりだったの?」
「ぼ、坊っちゃんに頼まれて。」
「…じゃあ私が届けておくから、メイリンは別の仕事に戻って。」
「は、はいですだ…!」
私はキッチンへ行き、新しいティーカップを取り出し、紅茶を注いだ。そしてシエルの部屋へ持っていった。
「坊ちゃん、入ってもよろしいでしょうか?」
「あ、あぁ…。」
ノックをしたあとに聞き、返事が返ってきたら部屋に入った。
「紅茶をお持ちいたしました。」
「なぜお姉……なぜナツキが?」
「…メイリンは別の仕事があるらしくて…。」
「…そうか。」
私はテーブルの上にカップの乗ったトレイを置いて部屋を出ようとした。
「ナツキ。」
「はい、なんでしょうか?」
「……いや、なんでもない…。」
「…そうですか。」