第8章 過去
「酷い有様だねぇ…。」
「!…」
聞き覚えのある声だった。でも、全く目が見えない。
「酷いねぇ…。」
アンダーテイカーだった。
「…こんな記憶、消してしまった方が、君のためだよねぇ…。」
すると、何かで心臓を刺された。とても苦しい。鎌のようなものだというのはわかった。
「おやすみ、ナツキ。」
私は意識を失った。
*アンダーテイカーside*
「さてと…。」
小生は1番大事な人をこの手で殺した。そして、蘇らせる。
「…まずは…目だよねぇ…。」
「誰だ、貴様。」
「…」
さっきのナツキを半殺しにした奴が帰ってきた。小生はナツキを横抱きにしていた。
「君を殺してしまいたいけど、そんなことしている時間がもったいないからねぇ…。」
「なんだと?」
小生はそれだけ言って、その屋敷から消えた。葬儀屋に戻ってきて、魂を戻す瓶を作った。
「…そして…。」
魂を戻すためには、死神の血を瓶いっぱいに溜めなければならない。
「…君が死んでしまうのはもったいない。」
掌を切り、瓶の中に血を溜めた。そして、もう1つの瓶を取り出した。中には真っ青な瞳。
「…これでよし。」
記憶だけを抜いて、もう1度、ナツキという存在を蘇らす。
「アンダーテイカー、いるか?」
「!…伯爵。」
気づいたら伯爵が来ていた。
「どうしたんだい?」
「情報を提供してほしい。僕のお姉様についてだ。」
「……死んだよ。」
「!…」