第7章 タイムリミット
吐き気がする。口を押さえながら時計を見ると、夜中の2時だった。
「…苦しい…。」
そう呟き、部屋を出た。キッチンに行き、水を1杯飲んだ。
「…」(また勝手に着替えられてる。)
セバスチャンだろうか。いや、彼以外にありえない。メイド服もきちんとクローゼットにあるし…。
「…なんでだろ…。」
思わず呟いてしまった。私は首を絞められて、目をくりぬかれる記憶を思い出した。それが誰にやられたのかはわからない。
その人の顔が黒いモヤに包まれていたから。
「…それなのに…死んでないし…目もある…。」
「目が覚めたようですね。」
「!…セバスチャンさん…。」
ビクッ!と体がすくんだ。
「…」(悪魔は…寝ないのかな…。)
「どうかなさいましたか?」
「い、いえ……あの…ありがとうございました…。」
「何がですか?」
「いろいろ…。」(あの時、セバスチャンがいなかったら…私は…。)
想像しただけでも怖かった。
「いえ、ご無事で何よりです。」
「……あの…お願いがあるんです…。」
「なんでしょう?」
「手伝っていただけませんか?私の、記憶探し。」
私はセバスチャンに助けを求めた。私1人で探すのは、かなり無理があるということがわかった。
「…記憶探し…ですか?」
驚いていたセバスチャン。
「はい。私は…過去の記憶がないんです。アンダーテイカーに会ったこともあります、でもいつなのか覚えていません、そして、シエルの父親にも会っていると聞きました。写真にも私が写っていました。」