第7章 タイムリミット
嫌な予感がした。目をくりぬかれる気がした。
「!…」
私はアロイスから離れた。
「え~、どうして逃げるの~?」
「っはぁ…はぁ…。」
フラッシュバックする記憶。私は誰かに目をくりぬかれ、首を絞められていた。
「うわあぁぁっ!!!」
「!…」
アロイスが驚いていた。
「ナツキ。」
「!…」
後ろから手がのびてきて、両目を隠された。
「セバス…チャン…?」
声でわかった。
「はい。」
「あ!クロード!」
クロードもいるのか、アロイスの足音が背後に行くのがわかった。
「はぁ…はぁ…はぁ…。」
「すみません、彼女はお疲れのようです。」
セバスチャンは私の両目から手を離すと、すぐに私を横抱きにした。
「っ…。」
また震えてしまった。
「せ…セバスチャ……。」
「はい。」
セバスチャンの顔を見ると、染められたようになった真っ赤瞳が私を見つめていた。
「私……。」
「今日はお疲れのようです、ゆっくりお休みくださいませ。」
そう言われ、今度は安心感が襲ってきた。いつの間にか、セバスチャンの腕の中で意識を失っていた。
この屋敷に来てから、いろいろなことを知りすぎたみたいだった。
「…ん…っ…。」
目が覚めたとき、眩しくなかった。外は月の光だけで、部屋の中も薄暗かった。
「…」(頭が痛い…。)
あいにく、全部覚えているのだ。叫んだことも、震えていたことも。