第7章 タイムリミット
「クロードさん、あなた、ナツキに何をしたのですか?」
「…いえ、何も。」
自分でもわかった。ガタガタ震えていることに。セバスチャンは私を抱きしめ返してくれた。
「ナツキ、坊っちゃんが探していました。ダイニングルームに行ってください。」
耳元でそう囁かれた。私はコクンと頷いた。でも、怖くて離れることができない。私はこれからもずっと、彼のことを恐れると思う。
「…ゴメン…なさい……怖くて…。」
率直な気持ちを伝えると、セバスチャンはわかっていたようで、何も言わなかった。
「私に彼女をいただけますか?」
「お断りいたします。申し訳ありませんが、お引き取り願います。彼女はあなたに対してとても怯えているようですので。」
「フッ…。」
「っ…すみません…坊っちゃんのところに行ってきます…。」
未だに震える足を必死に動かして図書室を出た。
「はぁ…はぁ…はぁ…。」
でも、体力なんて持つわけもなく……。廊下で座り込んでしまった。
「あれ?どうしたの?」
「!…」
顔をあげると、そこにはアロイスが立っていた。
「っぁ…。」
「大丈夫?あ、そうだ、クロードを知らない?」
「え…っと…クロードさんなら、図書室に…いらっしゃいます…。」
「そうなんだぁ~!ねえ、君の瞳の色って綺麗だね!」
「!…」
「真っ青でとても綺麗だ…。」
私の涙袋の部分に親指をあてた。