第6章 嫌な予感
「ナツキ。」
「!…坊ちゃん。」
「どこか行くのか?」
「あ…ちょっと…アンダーテイカーに…用があって…。」
「…アルバムのことか?」
「!…」
私に近づいてきたシエル。
「それを知ってどうするつもりだ?」
知られたくないことなのか、私を睨みつけるシエル。
「知られて困ることなの?」
「!…」
私は許可されていないのにタメ口で喋った。許可されていないと敬語で話さなければならないと言われたわけではないのだけれど…。
シエルは目を見開いたが、すぐに表情が戻った。
「別に。」
「…じゃあ聞いても問題ないでしょ。」
「フッ…。」
「…?」
「不思議だな。お前が自分の意見をしっかり言えるようになったなんて。」
「!…そ、そんな自分の意見…言ってませんでしたか?」
「ああ。怯えた子犬みたいだったな。」
「酷いです。」
「フハッ…!」
シエルが笑った。その姿がとても可愛かった…ことは、内緒にしておく。
「それじゃあ、行ってきます。」
「ああ、気をつけてな。」
「はい。」
私は微笑んだ。シエルは私の命の恩人だ。シエルに殺されても、私はシエルを恨むなんてことはしない。
葬儀屋へ着き、ドアを開けた。
「アンダーテイカー、いる?」
そう言ったけど、留守みたいだった。
「…いないのかな…。」
そう思い、ソファーに寝転んだ。
「…はぁ…。」
少し考えた。なぜあの人の写真を見た時に、私は頭があんなに痛くなったのか。