第6章 嫌な予感
*
「これ?」
10分くらいで見つかった分厚いアルバム。
「ああ。」
私はシエルに渡した。
「…私も見てもいいですか?」
「ああ。」
「…」(さっきから…ああ…しか言ってない…。)
興味本位だった。シエルの過去の写真などが写っているのかと思うと、見てみたかった。
「…!」
シエルのお父さんだろうか。その人が写ったとき、もの凄く頭が痛くなった。
「っ…シエル…。」
「…なんだ?」
「これ……この人…誰…?」
その人を指差した。指も震えていた。片手で頭をおさえた。
「この人は僕のお父様だ。」
「!…」(なんで……私は…この人を知ってる…?)
「名前は、ヴィンセント・ファントムハイヴ。」
「っぁ……。」
「ナツキ?」
シエルが私を見た。
「はぁ…はぁ…。」
疲れているわけでもないのに、汗が止まらない。パニック状態になっていた。
「っ…すみません…少し…休憩してきます…。」
私は書斎を出て、自分の部屋に向かった。早歩きだった。
「…なん…で…?」
そう思い、ベッドに仰向けになり寝転んだ。
「…!そうだ…アンダーテイカー…。」
あの人にも、どこか懐かしさを感じた。彼に聞けば何かわかるかもしれない。仕事が終わったあと、葬儀屋に行くことを決め、また黙々と仕事をした。
「ナツキ、今日はもう自室に戻って休んでください。」
「はい。」
そう言われ、私は自分の部屋に戻り、着替え、葬儀屋へ向かおうとした。