第5章 風邪
「ほっ…ほっ…ほっ…。」
「…」
湯呑みを持ち、座布団の上で正座をしながらお茶を飲んでいる小さなおじいさんがいた。
「…」(可愛い…。)
そう思いながらも、仕事に戻った。
「…痛っ…。」
やはり痛む首。
「…」(でもなぁ…セバスチャンに言ったら…なんて言われるかわからないし…。)
*
セバスチャンの場合。
「!…首を怪我したのですか?それはいけません。今日はもうお部屋にお戻りください。」
シエルの場合。
「仕事なんてしないで休め。」
メイリンの場合。
「たっ、大変ですだ!!セバスチャンさ~ん!!」
フィニの場合。
「たっ、大変です!!今手当てしますからね!…わ~!失敗しちゃいました!!ゴメンなさ~い!!」
バルドの場合。
「よし、今やってやるからな!」
*
「!…バルド。」
1番面倒じゃなさそうなバルドを探すことにした。
「…どこだろう。」
「誰をお探しですか?」
「わっ!?」
いつの間にか背後にいたセバスチャン。
「もう体調はよろしいのですか?」
「は、はい…。い、いろいろありがとうございました…!」(大変だ……大変だ!!こんなタイミングの悪い時に…!)
「いえ。それで、誰をお探しですか?」
「ば…バルド…。」
「バルドを…。なぜですか?」
「え…っと…。」
仕方ない…。もう諦めよう。
「あの…首…見てもらえませんか?」
「首…ですか?…おや…怪我をしていますね…。どうしたんですか?」
「…お皿の破片で…切ってしまったみたいで…。」
「!…またですか…。」