第5章 風邪
呆れられたかと思った。セバスチャンの部屋に行き、手際よく手当てをしてくれた。
「あ、ありがとうございます。」
「いえ、気をつけてくださいね。」
「呆れられたかと思いました。」
私がそう言うと、クスクスと笑っているセバスチャン。
「呆れませんよ。」
「…そう…ですか…。」
「はい。」
ニコリと微笑むセバスチャン。
「…あの…。」
「なんでしょう?」
「…いえ、なんでもないです。仕事に戻ります。」
私は椅子から立ち上がり、そう言った。
「セバスチャン、ナツキを知らないか……って、ここにいたか。」
「坊っちゃん。」
セバスチャンの部屋のドアを勢いよく開け、シエルが入ってきた。
「ナツキ、用がある。付いてこい。」
「かしこまりました。」
シエルはそれだけ言うと、部屋を出ていった。
「じゃあ、ありがとうございました、セバスチャンさん。」
「いえ。お気になさらず。」
ニコリと微笑むセバスチャン。私はセバスチャンの部屋を出て、シエルの元に向かった。シエルがいた場所は書斎だった。
「坊ちゃん、何の用ですか?」
「今はシエルでいい。」
「は、はい…。」
「…」
まだ何かいけなかったのか、ギロリと睨まれた。原因はすぐにわかった。
「う、うん、わかった。」
敬語。どうしてこうもうるさいのか…。
「…この部屋にはアルバムがある。それを探してほしい。」
「アルバム…?」
「ああ。」
「わかった。」
なぜ私?そう思いながらも本棚などを探した。
シエルは…というと…のんきにパフェを食べている。