第5章 風邪
「セバスチャンか?セバスチャンなら……あー…どこだ?」
「すみません…自分で探します…。」
「お、おい、フラフラだけど、大丈夫かよ…!」
「平気です…。」
壁に手をつき、歩いていく。この屋敷は広すぎる。シエルのそばにいるか、キッチンか、それとも庭か…。
「…はぁ…はぁ…。」
「おや、そんなフラフラな状態でどこへ行くというのですか?」
「!…せ、セバスチャンさん…。」(見つかった。)
すぐに見つかった。
「あの……昨日は…すみませんでした…。あと…ありがとう…ございました…。」
「いえ、それよりお部屋にお戻りください。そんな状態ではどこへも行けませんよ?」
「…セバスチャンを探してたの…。」
敬語で喋ることもしんどくなり、タメ口で話すことにした。
「!…私を…ですか…?」
私は頷いた。
「はぁ…はぁ…はぁ…。」
「全く…。」
「!…」
私を横抱きにして、部屋まで連れて行ってくれた。
「ご、ゴメン…。」
わざわざベッドにまで寝かせてくれた。
「いえ。それより…。」
「!…」
いきなり顔が近づいてきたから、何かと思った。セバスチャンの額と私の額がくっついていた。
「っ…///////」(ち、近い…。)
「…熱いですね。何か食べられそうなものを持ってきます。」
そう言い、部屋を出ていったセバスチャン。熱のせいもあり、心臓の鼓動がいつもより速い気がする。
「やっぱり苦手だ…。」
そう思い、布団を頭まで被った。