第4章 少しの間
書斎のドアを開け、清掃を始めた。本棚の上など、台を使って隅々まで掃除する。
「…会いに行こうかな…。」
「誰にですか?」
「わっ…!?」
セバスチャンがいたことに気づかず、私は驚いて体勢を崩してしまった。かなり高い台の上に立っていたので、軽い怪我では済まない。
思いっきり目を瞑るも、痛みを感じない。
「大丈夫ですか?」
「!…」
目を開けると、セバスチャンの顔がすぐ近くにあった。セバスチャンに横抱きで抱かれていた。
「す、すみません…!大丈夫です…!」
急いでセバスチャンから離れる。
「そうですか。お怪我がないようで良かったです。」
「あ、あの…それで…どうかなさいましたか…?」
「あぁ、様子を見に来ただけです。あの人達は…まともにできないようなので、もしかしたら…と思いましたが…余計なお世話でしたね。」
あの人達、というのは多分、他の使用人の人達のことを言っているのだろう。
「それで、誰に会いにいくというのですか?」
「え…えっと…。」
セバスチャンが近づいてくるので、私は1歩ずつ、後ろに下がる。
「…あ…。」
逃げ場がなくなってしまった。
「教えてくださらないのですか?」
1つにまとめた髪の毛を優しく掴み、その髪の口づけをした。
「!…//////」(なんでこの人は…こんなことを簡単に…。)
「おやおや、お顔が真っ赤ですよ?」
こうやってからかわれるのも、何回目だろう。
「かっ、からかわないでください…!//////」
「フフフッ…可愛らしい。」
そしてまた、こうやって言われてしまう。