第3章 2人
「…そっか…。」
ここは葬儀屋。そして情報を提供してくれる場所でもある。彼が言うなら本当だろう。
「…ありがとう。もう帰るね。」
「あぁ、またおいで。」
「うん。また来る。」
「そうだ、君の名前をまだ聞いていなかったねぇ。」
「ナツキ。ナツキ・ヘンリー。」
「……そうかい。それじゃあ、またねぇ、ナツキ。」
「うん。」
私は葬儀屋を出た。
「…しまった…。」
アンダーテイカーの話に付き合っていたら、すっかり夜になってしまった。
「…帰ろう。」
「ナツキ。」
「!…アンダーテイカー。」
ガチャッ…とドアが開く音がしたと思ったら、背後にアンダーテイカーが立っていた。
「また、本当に来てくれるかい?」
「来るよ。」
「本当に?」
そう言い、後ろから抱きしめてきた。
「本当に。怖いの?」
「…少しだけねぇ…。」
「思った以上に弱いんだ。」
「ん~、そうかもねぇ…。」
そう言い、私のうなじに顔を埋めた。
「…また来るよ。」
「…名残惜しいねぇ…。」
「気に入ってもらえて嬉しいよ。」
「君のことはヘンリー家にいた時からずっと見ていたからねぇ。」
「!…そうだったの…?だったら話しかけてくれれば良かったのに。」
ずっと後ろで話しているから、どんな表情をしているのかわからない。
「それはダメだよ。」
「どうして?」
「…いずれわかるよ。さ、そろそろ行きな。伯爵が心配するだろう。」
「それを引き止めたのはアンダーテイカーだよ?」
「ヒヒヒッ…それはすまなかったねぇ。」