第3章 2人
私はそう言った。でも、シエルはもう部屋に戻っていた。
「…はぁ…。」(大事に使おう…。)
そう思い、街に出かけた。歩いてすぐのところにある街。調べ物もしたかった。
自分用のおやつも作りたかった。とりあえず、りんごなどの果物を買った。しばらく街を歩いた。
「…ん、そろそろ帰ろうかな。」
だいぶ堪能できた。それに、買いたかったものなども買えた。
「…?」
誰も入っていかないお店があった。気になり、入ってみた。薄暗い店だった。
「ん~?なぁんだ…伯爵じゃなかったんだぁ…。」
「!…」
そこには、長い銀髪の男が座っていた。黒装束に身を包んでいた。
「何か知りたいことでもあるのかい?」
「…」
息を飲んだ。ここだけ、何か空気が違った。私はゆっくりと彼に近づいていった。
「おや…?君は…ヘンリー家の子じゃないか。」
「!…」
「なぜ、生きているんだい?」
前髪が長く、目が見えなかった。
「…ヘンリー家を…知っているのですか…?」
「もちろんだよ。」
「…そうですか…。」
すると、不気味に笑った彼。
「君、もしかして伯爵の使用人?」
「え…あ…はい。」(伯爵って…シエルのことだよね…?)
「ヒヒヒッ…そうかい。小生は伯爵によく情報を提供しているからねぇ…。」
「そう…なんですか…。」
すると、彼は骨型のクッキーを出してきた。
「お食べ。」
「……い、いただきます。」
手に取り、一口食べてみた。
「…!美味しい…!」
「ヒヒッ…ありがとう。」
「あの……お名前を…お伺いしてもよろしいでしょうか…?」