第3章 2人
「なんだ…その顔は。何か言いたそうな顔をしているな?」
ニヤリと口角を上げたシエル。
「!…い、いえ…なんでもありません…。」
「…ふぅん…。」
「…坊ちゃん、1つお伺いしたいことがあるのですが…。」
「なんだ?」
「…本日の食事会で、お客様を書斎にお招きするのですか?」
「…いや…しないが…?なぜだ?」
「…普段、あそこにソファーはないはずです。」
「…」
昨夜、セバスチャンを探している時に書斎を覗いた。その時には、あそこにソファーは無かった。
私はシエルの目を見て話した。
「…それで?何か文句があるのか?あそこにソファーが置いてあったなら。」
「いえ…文句だなんて…ございません…。」
「…チッ…。」
「…」(えぇぇぇっ……今…舌打ちしたよ…この人…。)
心の中でそう呟いた。
「もうあのソファーは片付けさせた。」
「そ、そうですか…。あ…坊ちゃん、私、このあともう仕事がないんです。少しだけ、街に行ってきてもよろしいでしょうか?」
「あぁ。」
「ありがとうございます。」
私は部屋に戻り、メイド服を脱ぎ、外に出られる格好に着替えた。部屋だと案内された場所は、とても綺麗で整っているところだった。ベッドもあり、窓の外から景色も見える。
階段を降り、玄関のドアを開けた。
「ナツキ。」
「はい?」
シエルに呼び止められた。
「これを持っていけ。」
「!…わっ…。」
投げられた小袋。その中にはたくさんのお金が入っていた。
「!…こ、これは…?」
「自由に使うといい。」
「だっ、ダメです…!もらえません…!」