• テキストサイズ

お気に入り 【黒執事】

第3章 2人


シエルがイライラしているようにも見える。


「あっ…。」(セバスチャンさんが…確か…。)

「心当たりでもあるのか?」

「は、はい…。えっと…本当にその人なのかわからない…ですけど…。」

「誰だ?」

「私です。」

『!…』


2人同時に驚いた。いつの間にか部屋の入り口にセバスチャンが立っていた。ドアを開けて、ワゴンを押している。


「チッ…どういうつもりだ。」


シエルが舌打ちをして、セバスチャンに聞いても、セバスチャンは微笑むだけ。


「坊ちゃん、りんごとレーズンのディープパイをご用意いたしました。」

「…」


シエルはセバスチャンを睨みつけると、席に戻り、ディープパイを食べ始めた。まだ食べ終わっていないパフェにも手をつけている。


「それでは、私は仕事に戻りますね。」

「お前はなんなんだ?」

「え…?」

「なぜ、何も動揺しない。」

「……どう…よう……と、申しますと…?」

「はぁ……もういい…なんでもない。」

「…?は、はい。」


私は会釈をして、書斎を出た。


「…」(動揺って…してるに決まってるじゃん…。)


心の中でそう呟いて、仕事に戻った。温室の植物の手入れをしようと思った。


「うわはぁぁんっ!!」

「!…」


温室の中から泣き声が聞こえた。


「ど、どうし……うわっ…。」

「助けてくださぁぁい!!」


泣きながら私に抱きついてくる金髪の男の子。


「わわっ!?」


背中に地面をつけ、倒れてしまった。


「ふぇっ……ごっ、ゴメンなさい!!セバスチャンさんかと思って…!」
/ 246ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp