第3章 2人
キッチンからセバスチャンが出ていったあとも、心臓の鼓動がうるさかった。
「…」(あの人は…苦手だ。何を考えているのかわからない…。)
反抗しても何も言ってこなかった。可愛らしい、としか言わなかった。父や母に言ったら間違いなく暴力を振るわれていたはず。
「…できた。」
パフェの完成!結局、パフェ的なものを作ろうとしたけど、パフェを作ることができた。
シエルのいる書斎へ持っていった。ドアをノックした。
「坊っちゃん、甘いものをお持ちいたしました。」
「入れ。」
返事はすぐに返ってきた。
「失礼します。…!?」
思わず声をあげそうになった。机の上には、シエルが隠れそうになるほどの書類の山。
「疲れた。」
「お、お疲れ様です。」
パフェとスプーンを渡すと、すぐに食べ始めるシエル。
「セバスチャンさんに怒られちゃいますよ?」
「別にかまわん。」
「…それでは、失礼します。」
「待て。」
「はい?」
「…そこに座れ。」
「え…。」
「座れ、と言っているんだ。」
スプーンで指した場所を見た。そこはソファーだった。シエルの訪問客などが来たときによく座っている場所。
「は、はい。」
ソファーに腰をかけると、シエルが私の目の前に来た。そして、胸元のボタンを2つ外した。
「!?…ぼ、坊ちゃん…どういうおつもりで…?」
「なんだこの跡は?」
「…あ、跡…?」