第20章 惹かれる
16:00
「ようこそお越しくださいました。」
「立派なお屋敷ですわねぇ…。」
会談の時間になり、ツバキ様が来た。
「初めまして、ナツキ・ファントムハイヴと申します。」
「初めまして、ツバキ・ラシュアトです。」
握手をして、ディナーの席へ案内する。
「今日は伯爵はいらっしゃらないのですか?」
「えぇ、なので代わりに私がお話をお伺いさせていただきます。」
ニコリと微笑むが、彼女はあまり良い気はしていないらしく、口元だけは微笑んでいるものの、目は笑っていなかった。
「…」(あー、苦手…かなぁ…このおばさん。)
「早速ビジネスのお話になってしまうのですが、弊社ではこのようなフィナンシェを取り扱っておりまして…。」
「…」(確かに暇だなぁ…シエルが会談を嫌うわけだ…。)
「…で、いかがでしょうか?」
「え…あぁ…。」(聞いてなかったや。)
「…」
「簡単に言うと、フィナンシェをファントムハイヴ社でも取り扱ってほしいとの依頼です。」
異変に気づいてくれたのか、セバスチャンが耳元で囁いてくれた。相手とは距離があったため、聞こえていなかった。
「えと…また後日、ご連絡させていただきます。」
「…そう…ですか…。」
「…」(凄い睨まれてる…。)
その後は笑顔で食事をしていたけれど、やはりビジネスの話が上手くいかなかったのが気に食わないのか、あまり良い雰囲気ではなかった。