第3章 2人
「う…ぁ…。」
悪魔のような微笑み。指で、と言われてしまった。だからスプーンで食べさせることはできない。
私は人差し指にクリームをつけて、セバスチャンの口元に持っていった。
「ありがとうございます。」
そう言い、私の人差し指をペロッと舐めた。それで終わると思った。でもそのあと、私の人差し指を口に入れ、舌で音をたてながら指を舐めた。人差し指を食べられるかと思った。
「あ…あのっ…/////」
「んっ…。」
「っ…//////」(そんなに舐める必要はないんじゃ…。)
そう言いたかったけど、心臓の鼓動がうるさく、声が出なかった。
いやらしい音がキッチンに響く。
「フフッ…ごちそうさまでした。」
やっと指を離してくれた。
「っ…/////」
「おやおや、お顔が真っ赤ですよ?」
私は振り向き、セバスチャンを睨んだ。久しぶりに人を睨んだ。いつもは心の中でしか睨むことができなかった。
私が睨んでも、セバスチャンはクスクス笑うだけ。
「本当に可愛らしいお方ですね。」
私の頬に触れようとしたセバスチャンの手を、触れられる前に払いのけた。
「おや…?」
「さ、触らないでください…。」
顔の熱も少しずつ冷めてきた。初めて反抗した。無視することはあったけど、言い返すことはなかった。言っても無駄だとわかっていたから。
「なんとも可愛らしい…!」
でも…睨んでも全く効果なし。
「し、仕事に行かなくていいんですか?」
「!…そろそろ行きますか。それでは、失礼いたします。」