第20章 惹かれる
「…」
「何?そんなに見てなくても、シエルみたいにサボらないから大丈夫。」
「フフッ…いえ、お嬢様がとても可愛らしいなと思いまして。」
「…気持ち悪い。」
最初、この屋敷に来た時は、セバスチャンにこんなこと言えなかったし言わなかった。でも今じゃ、普通に言ってしまっているから慣れというのは怖い。
「何かお持ちしますね。」
「ありがとう。」
セバスチャンは頭を下げると、書斎から出た。
「…シエルは…大丈夫なのかな…。」
正直言って、もの凄く心配だ。
「…」(セバスチャンがいるからちゃんと看病はしてくれているだろうけど…。)
そんなことを考えていると、ドアがノックされた。
「はい。」
「ナツキ、入るぞ~。」
入ってきたのはバルドだった。
「これ、手紙届いてたぜ?」
「手紙?ありがとう。」
バルドは私が”お嬢様”になっても、変わらず敬語も使わず呼び捨てで呼んでくれる。メイリンやフィニはたまに”お嬢様”呼びになってしまったり、敬語を使って話したりしているので、少し悲しい。きっと、セバスチャンから言われているのだろう。