第20章 惹かれる
シエルの体調が戻るまで、ここの当主は私になってしまった。
「お嬢様、本日のご予定ですが、午後16時までは企画書のチェック、その後、17時からお菓子メーカー、ツバキ・ラシュアト様との会談になります。」
「…うん。」
いつもはシエルが座っている書斎の席。今日は私が座っている。
「それでは、本日チェックしていただく企画書になります。」
「!…こ、こんなに…?」
「はい。」
ニコリと微笑むセバスチャンが置いた企画書の量は異常だった。山積みになっているし、1番少ない量でも前がギリギリ見えるくらいだった。
「…」
「これでは仕事がしづらいと思いますので、床に置いておきますね。あ、ちなみにこれは坊ちゃんがサボった量もプラスしてますので。」
「…シエルめ…。」
「それでは、よろしくお願いいたします。」
胸に手を当てお辞儀をすると、セバスチャンは書斎から出て行った。大体のことは教えてもらっているので、こなすのは簡単。でも問題は量。