第3章 2人
口ごもっているシエル。
「あっ、甘いものが食べたくなった!作れ!」
「!…ですが、坊ちゃん…それはセバスチャンさんにダメだと言われ」
「う、うるさい!いいから作れ!//////」
顔が真っ赤になっているシエル。
「か、かしこまりました。」(どうしたんだろう…。)
そう思いながらもキッチンに向かう。誰もいなかった。冷蔵庫にはさまざまな食材があった。パフェ的なものを作ろうと思い、手際よく作業を始めていく。
「ナツキ?」
「!…セバスチャンさん。」
「何をしているのですか?」
私は泡立て器でクリームを作っていた。
「あ…えっと…。」(言ってもいいのかな…。)
シエルは怒られてしまうだろう。いや、私が怒られるかもしれない。
「ほう…生クリーム…ですか…。」
いつの間にか、セバスチャンが私の真後ろに立っていた。密着している体。
「あ、あの…。」
「…坊っちゃんが甘いものが食べたくなった、みたいなことをおっしゃったのでしょう。」
「!…」(す、鋭い…。)
「少しだけ頂けますか?」
「え?」
「その生クリーム。」
セバスチャンの赤い瞳が、生クリームに向いていることがわかった。
「あ…はい。どうぞ。」
銀色のボウルをそのまま渡すも、指につけて食べる気配がない。
「…すみません。私は手袋を外すことができないので、食べさせていただけませんか?指で。」
「!…」
耳元で囁かれた。腰がゾクゾクした。