第19章 変わった執事
クロードが眼鏡をかけ直し、そう言った。
「その必要は無用だ。」
「…」
「セバスチャンがナツキの世話をする。お前は帰れ。」
「…他の執事にお世話をされるくらいなら、私がやります。」
「遠慮するな。お前よりセバスチャンの方が優秀だろう。」
「フッ…随分な言われようですね。」
バチバチと2人の間で火花が散っていた。
「お部屋のご準備が出来ました。」
セバスチャンが戻ってきた。
「…ごちそうさまでした。」
私は手を合わせ、そう言った。
「お嬢様。」
「…?」
席を立ち上がったと同時にクロードに呼ばれ、振り向いた。
すると……。
「んっ…!」
「なっ…!?」
「!…」
クロードは私の唇にキスを落とした。
「何かあれば、すぐにお呼びください。」
軽く微笑み、クロードはお辞儀をした。
「っ…ぁ…う、うん…。」(ビックリした…。)
いきなりのことで驚いた。それに対して、シエルとセバスチャンは…というと…。
「…」
シエルは食事で使っていたナイフをクロードに向けているし……。
「…」
セバスチャンは目を細めてクロードを睨みつけていた。