第19章 変わった執事
「彼に会いにいくのは危険です。お嬢様も殺されてしまうかもしれません。」
「…じゃあ、その時はクロードが私のこと、助けてね?」
私はクロードに微笑みかけた。
「!…し…至福…っ…!か、かしこまりました…っ…!」
で、結局…クロードがファントムハイヴ邸へ連絡をしてくれて、今夜、向かうことになった。
「…本当によろしいのですか?」
馬車で向かっている最中、クロードに聞かれた。
「…だって、何も思い出せないのに…人を殺すなんて考えられない…。」
「…」
「…ねぇ…クロードは…私に何か…隠してる…?」
「…いえ、何も。」
「…そっか…。」
しばらく沈黙が続いていた。
「着きました。」
そしてようやく、ファントムハイヴ邸に着いた。
玄関のドアが開いており、階段を登った先に、シエルが立っていた。
「…ようこそお越しくださいました、当主のシエル・ファントムハイヴと申します。」
「…初め…まして…?」
「…晩餐の準備をさせておりますので、どうぞこちらへ。」
手を掴まれ、部屋へ案内された。
「本日の料理は、3種のきのこのミルクリゾットをご用意いたしました。」
「…」
お屋敷に来た侵入者さんが料理を用意していた。彼は執事らしい。
「それで、本日はどのようなご用件でしょうか。」
「…」
なんだろう……彼と会うのは…初めてではない気がする…。