第19章 変わった執事
~その頃のファントムハイヴ邸では~(セバスチャンside)
「セバスチャン!!なぜナツキはあの悪魔のところにいるんだ!」
「…申し訳ございません、私が、目を離した隙に。」
「ふざけるな!!」
坊ちゃんの怒りは治まらず、机を両手で思いきり叩いて立ち上がった。
「今すぐ連れ戻してこいと言ったはずだ!」
「……その事ですが…坊ちゃん…。」
「なんだ…!」
「…お嬢様は…一種の記憶喪失になってしまわれたかと…。」
「!…記憶…喪失…?」
「はい。お嬢様はクロードさんのことを嫌っていました。ですが、今彼女は、あの悪魔の主人となり、お屋敷で暮らしています。」
「…屋敷ってアロイスのか?」
「えぇ…。」
「チッ…。」
「それともう1つ…。」
坊ちゃんの怒りは爆発寸前だった。
「…お嬢様は、坊ちゃんのことを暗殺しようと考えているなのです。」
「!…は…っ…?」
「…きっと、あの悪魔が、一時的にお嬢様に精神的苦痛を与え、記憶喪失にしたあと、坊ちゃんを殺すよう、仕向けたのでしょう。」
「…記憶喪失はいつ治るんだ?」
「…私にもわかりません…記憶を取り戻すのは、お嬢様次第ですので。」
「チッ…。」
坊ちゃんは握り拳を作り、机を叩いた。
「クソッ…。」
「ですが坊ちゃん…お嬢様とクロードさんは、契約を交わしていません。」
「ならなぜ、ナツキはアイツのそばにいる…!」
「…」(きっと…それは…。)
思いついたことはただ1つ。でも、坊ちゃんには何も言わなかった。