第19章 変わった執事
「…」
「…お嬢様…?どうかなさいましたか?」
「え…?」
「いえ、ずっと上の空だった…というか…遠くを見つめていらっしゃるようでしたので…。」
「…なんでもない…。」
つい、あの男性から逃げてしまったけど、あの笑顔には、どこか懐かしさを感じる。
彼と会うのは初めてではないような気がする。
「料理が、お気に召しませんでしたか…?」
「え…あ…ち、違うの…。」
すると、クロードは困ったような表情を浮かべた。
「申し訳ございません。お嬢様にあのような思いをさせてしまい……私は執事失格です…。」
「!…そ、そんなことないから…大丈夫。」
私は微笑んだ。
「!…さ、さようで…ございますか…。」
「う、うん。ご、ごちそうさまでした。」
料理を全て完食して、自室に戻った。
「…」
ベッドの上に座り、靴を脱いだ。
「…」(どうして私は……シエル・ファントムハイヴを…殺そうとしてるんだろう…。家族を殺されたわけでもないし、何か嫌なことをされた。という記憶もない。なのになぜ……?)
そんなことを考えていると、ドアをノックされた。
「はい。」
「お嬢様、失礼してもよろしいでしょうか…?ハンナです…。」
「…どうぞ…?」(ハンナ…?)
すると、メイド服を着た人が入ってきた。この人はハンナという人らしい。
「花瓶のお花を変えに来ました…。」
「あ、ありがとうございます。花瓶の花……あ…れ…。」