第19章 変わった執事
「…」
薔薇の花を見つめていた。
「お嬢様。いったいどうなされてしまったのですか?お嬢様は、このトランシー家の当主ではありませんか。」
「当主…?」
「はい。」
「…私は…どうして…シエル…ファントムハイヴを…殺そうとしてるの…?」
「…それは…」
「勝手にお嬢様を連れて行かれては困ります。」
「!…」
知らない人の声が聞こえた。
「…だ…れ…?」
黒い髪、吸い込まれそうな赤い瞳に、シワ1つない燕尾服を着ている人だった。
「…侵入者…ですか…。」
「!…」
「坊ちゃんからのご命令で、お嬢様を連れ戻すよう、言われました。ですが……面倒なことになりましたね…。」
クロードは手を叩いた。すると、ハンナと三つ子、トン、チン、カンがすぐに現れた。
「この侵入者を、お嬢様に近づけさせるな。この屋敷から追い出せ。」
「…」
4人は一斉に男性に向かって走っていった。
「…」
「く…クロード……彼は…」
「さ、お嬢様。お体が冷えます。お屋敷に戻りましょう。」
「で、でも…」
肩に触れられ、クロードは私をお屋敷へ誘導した。