第19章 変わった執事
「…んっ…。」
「お嬢様、お目覚めのお時間ですよ。」
「……だ……れ…?」
「あなたの執事、クロード・フォースタスです。おはようございます、お嬢様。」
「…クロード…?」
「はい。」
記憶が……昔のことが思い出せない。
ここで眠る前は…何をしていたのだろう…。
「…こんな…立派なお屋敷に…住んでた覚えは…ない…の…。」
「何をおっしゃいます。この17年間、あなたはこのお屋敷で過ごされていたではありませんか。」
「…そう…なの…?」
「はい。」
私はベッドから体を起こした。すると、クロードは私を着替えさせてくれた。
「…」
「…フフッ…。」
「…なんで…笑ってるの…?」
「いえ、なんでもありません。」
「……何か…大切なものを……大切な人を…忘れている気がするの…。」
「…気のせいかと。」
「…そう…なのかな…。」
「はい。」
着替えが終わり、私は屋敷を歩いて回った。後ろにはクロードがついてきていた。
「……やっぱり…こんな…お屋敷には…住んでない…。」
怖くなり、クロードの方を見た。