第19章 変わった執事
それから……。
シエルはアロイスと何かを話していた。セバスチャンとクロードは「2人で話したいから来るな。」と命令をされたらしく、離れている。
「…」
「Shall We Dance?」
「!…」
ボーッと、踊っている人達を眺めていると、背後から声が聞こえた。
「っ…く、クロード…さん…。」
うっすらと微笑んでいた。
「っぁ…!」
返事を聞く前に、私の手をとって踊り始めた。
「あ…あの…っ…!」
「お任せください。」
クロードはそう言うと、ダンスを踊っている人達の輪に入っていった。
「あ…あの…く、クロードさん…?」
「…」
ただ、目を瞑ってダンスを踊っていた。話を聞いてくれないようだった。
私は助けを求めたくてセバスチャンの方を見た。
「!?…」
「…」
今にでも舌打ちをしそうなほどイラついていた。
「…」(お、怒ってる…!?な、なんで…!?)
明らかにこちらを睨んでいた。
「あ、あの…クロードさん…せ、セバスチャンが…。」
「ん…。」
目を開き、クロードはセバスチャンの方を見た。でも、もういなかった。
「!…あ…あれ…。」
「すみませんが、お嬢様を返していただきます。」
「!?…」
いつの間にか背後にいた。
「…フッ…。」
クロードは軽く笑うと、私の手を離した。