第18章 噛みつく
「ナツキ。」
「!…シエル。」
書斎のドアが開き、顔だけを覗かせたシエル。
「どこへ行く?」
「え…?」
「…また街へ行くのか?」
「う、うん。そうしようかな…って…思ってたとこ…暇だったから…。」
「今後一切、僕の許可が下りるまで、外出は禁止だ。」
「!…え!?な、なんで…!」
「あの変態悪魔執事に捕まったばかりだろう。それにこの前も僕に無断で出かけ、アンダーテイカーに会っていたしな。」
「うっ…そ、それは…。」(まだ覚えてたとは…。)
「わかったな?」
「…は、はい…。」
「フンッ…。」
その返事に満足したのか、ドアを閉めて仕事に戻っていった。
「…」(どうしよ…。)
外出禁止ってことは、この屋敷から出てはいけない…ということで……。
「…」(え…?庭へ行くのはいいんだよね…?温室の植物見に行ったりとか…。)
きっとそれは許してくれるはず。
とりあえず外の空気が吸いたくなり、庭へ行った。
「…凄い…。」
白い薔薇や赤い薔薇、他にも綺麗な花がたくさん咲いていた。