第18章 噛みつく
「…フィニ…大丈夫…?」
「うぅぅっ…。」
あの後、フィニはこっぴどく叱られていた。
*
「お嬢様に草むしりをさせるとは、どういうことですかフィニ!お嬢様の手が汚れてしまうでしょう!」
「ご、ゴメンなさい…。」
「それに、失敗をしたのならはっきり私に言ってください。わざわざお嬢様に手伝っていただくなど、言語道断です。」
「うっ…。」
「それに草むしりなんて、手でもかぶれてしまったらどうするんですか。」
「うぅっ…。」
「フィニ、あなたはもっと自分の仕事に責任を」
「せ、セバスチャン…!そ、そのくらいにしてあげた方が…!」
*
あのまま止めていなければ、まだ続いていたはず…。
「…お嬢様…。」
「その呼び方…嫌…。」
「で、でも…。」
「これだけは譲れないの…!フィニとバルドとメイリンには名前で呼んでほしいの…!敬語もいらない。」
「…わ、わかった…!」
フィニはわかってくれたようで、他の2人にも伝えに行ってくれた。
「…」(田中さんは言っても聞いてくれなさそう…。)
と、失礼なことも思いながら…ダンスレッスンをした部屋に戻った。
「…え…ない…。」
置いてあったパンプキンパイと紅茶のティーカップが無くなっていた。きっとセバスチャンに片付けられてしまったのだろう…。
「…えぇ…。」
食べたかったのに…。