第18章 噛みつく
「フィニ…?大丈夫?」
「うわはぁぁぁんっ!!お嬢様ぁぁっ…!」
大泣きをしたまま私に近づいてきたフィニ。
「ど、どうしたの…?」
「ふぇぇっ…ちょっとは草むしり楽になるかなって思って除草剤まいたらぁぁ…っ…!」
「…うわ…っ…。」
見事に茶色く雑草が染まっただけだった。
「ふ、2人で頑張って草むしりしようか。」
「え…で…でも…お嬢様にそんなことさせられないです…!」
「ううん、気にしないで。お嬢様じゃなくて、前みたいにナツキって呼んでよ。その方が親しみやすい。」
私が微笑むと、フィニは涙を腕で拭いて「はいっ!」と返事をしてくれた。
「…」
「ゴメン…付き合わせちゃって…。」
「ううん、何もやることなかったから。」
草むしり、と言ってもそんなに範囲は広くなかった。2人でやれば30分くらいで終わりそう。
「…」
「ねぇ、どうしてナツキは、坊ちゃんとそんなに仲が良いの?」
2人並んで草むしりをしていた。
「なんで…うーん…。」
「坊ちゃんもセバスチャンさんも、みんなナツキのことを凄く大事にしてるんだ。あっ、もちろん僕もナツキのこと凄く大事に思ってる!」
隣でニコリと微笑むフィニ。
「…」(可愛い…。)
ふとそんなことを思った。