第18章 噛みつく
結局、次の日からダンスレッスンが始まってしまった。レッスンの時間は1日に4時間。そうしないとパーティーに間に合わないらしい。
パーティーまであと3日。
「ワン・ツー・スリー・ワン・ツー・スリー。」
「…」
「お嬢様、足がバタついていらっしゃいます。もっと優雅に。」
眼鏡をかけているセバスチャン。
「…坊ちゃんよりは才能がありますね。」
ニコリと微笑むセバスチャン。シエルがいたら絶対シエルの機嫌は悪くなっていただろう。
「それでは、私と一緒に踊ってみましょうか。」
セバスチャンは私の手をとり、踊り始めた。
「っあ…ちょっ…む、無理…。」
「大丈夫です、さっきやった通りに踊ってください。」
「いや…で、でも…」
足がもつれる。
「…!」
靴紐を踏んで倒れそうになった。
「っ…!」
でも倒れなかった。セバスチャンが体を支えてくれていた。
「ご、ごめんなさい……ありがとう…。」
「いえ。さすがにまだ早かったですね。」
体勢を整え、セバスチャンは私の手を離した。
「…」
「それではもう1度、始めましょうか。」
4時間、続けてレッスンをするとさすがに死んでしまうので、度々休憩を挟んだ。