第18章 噛みつく
「お手伝いいたします。」
ニコリと微笑み、セバスチャンは言った。
「…はぁ…。」
いらない。と言ってもどうせやめてくれないだろう…。
私は身を任せることにした。ドライヤーで髪を乾かしてもらい、服を着せてもらった。
「夕食の準備が出来ておりますので、ダイニングルームへ行きましょうか。」
「…うん。」
時計を見ると、午後6時をまわっていた。ダイニングルームへ行くと、もうシエルが待っていた。
「ごめん…待たせちゃった…。」
「…いや、僕も今来たところだ。」
「え…?そ、そう…なの…?」
「あぁ…。」
すると、セバスチャンがクスクスと笑っていた。きっと、シエルは気を使ってくれたのだろう。
「いただきます…。」
手を合わせそう言った。
「ナツキ。」
「ん…?」
「…わけあって、アロイスのところのパーティーに参加することになった。」
顔をしかめてシエルは言った。
「あ……そう…なんだ…。頑張ってね…。」
「…何を言っている?お前も来るんだ。」
「……え?む、無理…!ダンスとか踊れない…。」
「フフッ…ご安心ください、ダンスレッスンを、明日から行えばよろしいのです。」
セバスチャンは微笑んで言った。
「フンッ…。」
「え……し、シエルと一緒に…?」
「メイアール婦人には僕から言っておく。」
目を瞑ってそう言った。
でも……
「いえ、僭越ながら、ダンスレッスンの講師は私が。」
「!…」
「…出来るのか?」
「はい。」
「…」
「…」(え…シエルは…何も言わないの…?)