第18章 噛みつく
「…怯えていようがいまいが、私は彼女の魂さえ頂ければそれでいい。」
「フフッ…今まで下衆な魂を追いかけていた方が、お嬢様のような上品な魂を横取りしようなど、許しませんよ?」
「下衆な魂…。」
するとセバスチャンはニコリと微笑み、こう言った。
「すみませんが、坊ちゃんのダンスレッスンのお時間がそろそろ終了いたしますので、この辺で失礼いたします。」
セバスチャンはまた走り始めた。クロードが追いかけてくることはもうなかった。
「…はい、着きましたよ。」
「!…あ……ありがとう…。」
ボーッとしていたらいつの間にか着いていた。
降りようとしたけど、セバスチャンはおろしてくれなかった。
「…?」
「…」
「な…何…?」
顔を見つめられ、首を傾げた。
「……いえ。」
一言そう言うと、おろしてくれた。雨はもうとっくに止んでいて、青空が広がっていた。
「ナツキ、どこへ行っていた?」
ちょうどダンスレッスンが終わったみたいで、階段をおりてきた。
「あ……えっと…。」
「アンダーテイカーのところか?」
「う、ううん、今日は違う…。」
「ならどこだ?」
目を細めて私を睨みつけた。
「…えっと…。」
言えない…。言ったら…どうなるかわかったもんじゃない…。
助けを求めようとセバスチャンの方を見るも、クスクスと笑っているだけ。