第18章 噛みつく
「何!?何の音!?」
アロイスが走ってきた。
「お嬢様を返していただきますよ?」
「!…」
セバスチャンは素早く移動して私を横抱きにすると、もう1度窓枠に立った。
「クロード!捕まえろ!逃しちゃダメ!!」
「Yes、Your、Highness。」
セバスチャンは私を横抱きにしたまま屋敷を出て走った。
「せ、セバスチャ」
「帰ったら、たっぷり、お話、聞かせてもらいましょうか。」
「!…」
あ……悪魔の笑みだ…。
「っ…!」
彼は本当に人間ではないんだな…と思った。人が走るスピードではないのだ。
「あ、あの…坊ちゃんは…?」
「坊ちゃんはただいま、ダンスレッスンをしております。」
「あ…そう…なんだ…。」
と、こうゆっくり話をしていられない。後ろから追いかけてくるもう1人の悪魔。
「っあ…!」
セバスチャンがいきなり振り向き、立ち止まった。
「彼女を渡してもらおう。旦那様との食事がまだ済んでいない。」
「いえ、結構です。お嬢様は私の料理だけお召し上がりになりたいとのことですので。」
「…」(言ってない…。)
クロードの目はいまだに真っ赤に光っていた。
「っ…。」
怖くなり、セバスチャンの肩を掴んでいた手に力が入った。
「…」
「すみませんが、お嬢様はあなたに対してとても怯えているようです。」