第18章 噛みつく
受話器を持っていない方の手で後頭部をおさえられ、離れられなくなった。
無理やり…舌をねじ込まれてキスをされている…。
「んっ…や…っ…んん…っ…。」
真っ赤に光っている目。抵抗しても全く意味がなかった。
「っん…!」
入ってくる舌に思いきり噛みついた。
「っ…。」
すると、クロードは口を離した。クロードの口の端から血が流れた。
「…やめて…ください…っ…。」
「フッ…。」
彼は不敵に笑みを浮かべると、受話器を置いて電話を切った。
私はクロードを睨みつけた。
「あなたの魂は、誰にも渡さない…。」
「…私の魂は、絶対にあなたには渡しません。」
「ほう…。」
眼鏡をかけ直したクロード。
「ならいったい…誰にその魂を渡すというのですか…?」
私に近づきながらそう聞いてきた。
「っ…。」
私は後ずさりをした。でも……
「!…」
いつの間にか壁があり、逃げ場がなくなってしまった。
「…誰でも…いいじゃ…ないですか…。」
「…」
すると、クロードは目を細め、私の首元のボタンを2つ、外した。
「…ほう…。」
「…?」
「もう手は出されている…ということか…。」
「え…?」
首元を睨みつけると、一気に機嫌が悪くなったクロード。
その時だった…。
バリーン!!
「!…」
「…」
いきなり窓ガラスが割れ、窓枠のところに立っている男性。
「失礼。お嬢様を、お迎えにあがりました。」