第16章 気持ち
「ナツキ。」
「ん?」
「…僕がお前を手放すことはないと思え。たとえどんなことがあってもだ。」
「!…」
言ったあとに恥ずかしくなったのか、シエルの顔は真っ赤だった。
それから…お屋敷に戻り……。
『おかえりなさい!坊ちゃん!』
戻ってきた日常。
この日常が、たまらなく私は好きなのです。
「ナツキ。」
「!…セバスチャンさん。」
部屋に戻ろうとしたとき、セバスチャンに呼び止められた。
「…?」
近づいてきたので、そのまま止まって待っていると……
チュッ…。
「!?…」
いきなりキスをされた。
「なっ…何するんですか…っ…!//////」
「フフッ…相変わらず、可愛らしい反応ですね。」
「っ…からかわないでください…!//////」
私は自室へ戻った。
「…はぁ…。」
なんだか疲れてしまった。もう外は暗くなってきていた。時計を見ると、もう20時を過ぎていた。
「…」
「ナツキ。入るぞ。」
「!…うん。」
いきなりシエルの声が聞こえ、驚いた。ドアを開け、シエルが入ってきた。
「どうしたの…?」
「今日からメイドの仕事はしなくていい。」
「!…だ…だからそれは…」
前にも同じような事を言われた。でも私がまだ了承したわけではない、と知っていたのだろう。
「やることがないのなら僕の仕事を手伝ってくれると助かる。」
「…」
「それか、街に行っても構わない。」
「…」
「…」
「……わかった。」
諦めて私が了承すると、シエルは満足げに微笑んだ。