第16章 気持ち
シエルにはもう逆らえる気がしない。振り回してもあまり怒らなかったし、こうしてまた屋敷に迎え入れてくれている。ホントに優しい…。
それから…次の日…。
「っ…。」(眩しい…。)
「お嬢様、お目覚めの時間ですよ。」
「…?」
そこには、カーテンを開けるセバスチャンの姿があった。
「なん…で…?」
そう聞くと、セバスチャンはニコリと微笑み、言った。
「本日から、坊ちゃんとお嬢様のお世話をさせていただくことになりました。どうぞ、よろしくお願いいたします。」
「……いや…大丈夫…です…。」
「!…と…申しますと…?」
「2人は契約を交わしているんでしょ?私は契約を交わしていないし、お世話だけしてもらうなんてこと、出来ないよ…。」
私は起き上がり、伸びをした。アンダーテイカーから聞いた。シエルとセバスチャンは契約を交わしていること。クロードとアロイスも同じ。
「いえ、そういうわけには参りません。坊ちゃんのご命令ですから。」
「でも…」
セバスチャンに言おうとした時だった。ドアがノックされ、シエルが入ってきた。
「ナツキ、朝食にする。食卓に来い。」
「…わかった。」
「僕は先に向かっている。セバスチャン、ナツキの支度が終わったらお前も一緒に来い。」
「かしこまりました。」
セバスチャンは左手を胸のところに当て、頭を下げた。