第15章 すべての過去
「そうかい。えっと…ナツキは、お母さんを探しているのかい?」
「…うん…いないの…お母様…。」
「じゃあ、一緒に探してあげよう。」
「!…ホント!?やった!」
私は死神さんの手をとって歩き始めた。
「!…」
「ね、死神さん…!早く行こう?」
「…ヒヒヒッ…そうだねぇ。」
死神さんは少し腰を曲げてくれた。
しばらく歩いていると開けた道に出た。そして、お母様とお父様が大きな声で私の名前を呼んでいた。
「お~い!ナツキ~!?」
「どこ~!?」
私は死神さんの手を離した。
「さぁ…あそこにいるのがお母さん達だよねぇ?君のことを探しているみたいだよ~?」
「!…うん!ありがとう!死神さん!」
「ヒヒヒッ…それじゃあねぇ…。」
振り向いて森へと戻っていく死神さん。
「ねぇ!また会える!?また、私と遊んでくれる!?」
一生懸命叫んでそう聞いた。すると、止まってくれた。でも、振り向きはしなかった。
「…どうだろうねぇ…。」
「また会いたい!」
「ヒヒヒッ…君は、面白いことを言うんだねぇ……死神と会うなんてダメだよぉ~?死神はこわぁ~いんだから。」
振り向いてそう言ってくれた。
「でも死神さんは私を助けてくれたもん!また会いたい!私、怖くないよ!」
「!……そうかい…それじゃあ…また…会えるといいねぇ…。」
そう言い、森の中へと消えていった。