第15章 すべての過去
それから、カミル・ヘンリーに両親を殺され、ヴィンセントに拾われた私は、ファントムハイヴ邸で9年の時を過ごした。
本当のお父様とお母様のように接することができて、とても幸せな日常を繰り返していた。でも、何者かに屋敷を放火されたあと、私はヘンリー家の人に捕まり、殺された。
小さい頃にアンダーテイカーと会っていたのに、覚えていなかったのは、彼のことをそこまで重要視していなかったのもあるし、助けてくれた人を1人1人、覚えているはずもなかったから。
~ここから先はアンダーテイカーが私を蘇らせてくれた後のお話~
「…」
ボーっとする。まだ視界もぼやけていて、頭も働いていない。今何かを覚えて、と言われても覚えられる気がしない。私が誰で、何をしていたのか、全く覚えていない。
「!?…なぜ…だ…。」
街を歩いていると、1人の男性がこちらを見つめて目を見開いていた。
「お前は…。」
喋りながら近づいてきて、私の肩を掴むと、私の体を揺さぶった。
「お前はカミル兄さんが殺したはずだ!!」
「…」
何…を…言っているのだろう…この人は。
喋っている声もだんだん遠くなり、私は意識を失った。