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お気に入り 【黒執事】

第14章 狂った執事


「…」

「…」


ただ、時間だけが過ぎていった。私は何もすることがなく、ただソファーに横になっていた。

アンダーテイカーは、というと、いろんなことをしていた。棚を整理したり、本を読んだり、瓶をいじったり……。


「…ねぇ、アンダーテイカー。」

「ん~?」

「…私の過去ってさ、話してくれた事以外にもまだあるんだよね?」

「…ん~、まぁね…。」

「…」


あの話してくれた過去の話は、まだほんの一部にすぎないのだろう。


・なぜ私はヘンリー家にいたのか。

・アンダーテイカーのことを、「死神さん」と呼んでいるのはなぜか。




「ねぇ…どうして私は、アンダーテイカーのこと、死神さんって呼んでるのかな…。」

「…さぁ……なんでだろうねぇ…。」

「…知ってるくせに…。」

「…ナツキ。ナツキは、森で迷子になったこと、覚えているかい?」

「…迷子……うん、覚えてる…けど…ちょっとしか覚えてない…。」

「……それは、いくつの時か、覚えているかい?」


私に背を向けたまま、アンダーテイカーは話していた。何か作業をしているみたいだった。


「わからない…。」


ホントに少ししか覚えていない。遊んでいて、森に入っていって迷子になった。
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