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お気に入り 【黒執事】

第2章 新しい朝


「つまらんな。」

「…」

「なぜそこまで自分の人生をつまらなくする必要がある?お前は死にたいのか?」

「っ…死にたくない…よ…。」

「ならなぜ」

「あの人達がいる限り!!」

「!…」

「私は自由になんかなれない!!」


私は怒鳴り、その場に崩れ落ちた。玄関のドアは、セバスチャンが支えてくれた。

すると、階段を降りてくる靴の音が聞こえた。そして、その音はすぐに近くなった。顔をあげると、シエルがいた。


「伯爵…。」

「つまり、ヘンリー家を滅ぼせば、お前は自由になる…と…?」

「っ…そう…です…。」

「…命令だ、セバスチャン。」


そう言い、杖を付いていない方の手で眼帯を外したシエル。


「ヘンリー家を滅ぼせ。今すぐにだ。」

「yes、my load。」

「!…そっ、そんなこと…できるわけ」

「できる。」


シエルに気を取られていて、セバスチャンがいなくなったことに気がつかなかった。


「…伯爵…。」

「シエル、そう呼べと言ったはずだ。」

「…シエ…ル…。」

「フッ…やはりいいな。」

「…?」

「僕は、お前が気に入った。」


そう言い、私に手を差しのべてくれた。


「!…」

「いつまで座っているつもりだ?」

「っぁ…。」


その手をとり、立ち上がった。


「お前はここにいろ。」

「っ…。」

「坊ちゃん、ダンスレッスンのお時間です。」

「!…」

「あぁ、もうそんな時間か。キャンセルしろと言ったはずだ。」


何事もなかったかのように、シエルはセバスチャンと話している。もう帰ってきていた。
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