第14章 狂った執事
冗談のつもりだった。
でも…。
「もちろんだよ~?」
「!…じょ…冗談…だよ…?」
「君が笑って、また動いてくれるなら、小生は何度だって君を甦らせてみせるよぉ~?」
アンダーテイカーは、私が死んでも、生き返るから、生き返らすことが出来るから、泣いたりはしないんだろう…。
「死神さん。」
「ん~?」
「…やっぱり…私が死んでも、甦らせたりしないで…。」
「おや、どうしてだい?」
「…」
もちろん、記憶も全て消されるし、自分の魂ではなく、誰かの魂を借りて生きることになる。もともとあった私の魂を戻すのにも時間がかかる。
そんな、アンダーテイカーに手間をかけさせてまで生きたいとは思わないのだ。
だから、残された今この時を大切にしようと思った。
「今を大切にしようと思う。生き返る、なんて思ってたら、人生楽しめなさそうだから。」
「…わかったよぉ~。」
私は、口をへの字にしたアンダーテイカーを抱きしめた。
「前に、アンダーテイカーが言ってた、家族以上に大切な人って誰?」
「その答えは、もう知っているんじゃないのかい~?」
「…?」
「ナツキ。」
「何…?」
「だから、ナツキだよ。」
「え…?」
アンダーテイカーは私を強く抱きしめた。
「小生が、1番大切で、何があっても失いたくないもの。それがナツキだよ。」
「…そう…だったんだ…。」
正直、嬉しかった。人から大切にされた感覚を、覚えていないから。