第14章 狂った執事
「…眠れない。」
昼間、あれだけ寝てしまえば眠れないのも当然だ。それに起床した時間も遅かったから尚更。
「…」
「眠れないのかい?」
「お昼寝しちゃったから。」
「なるほど。」
「…ねえ、アンダーテイカーはどうして私のことを助けてくれたの?」
カミルの時もそう。自分では覚えていないけど。
「君がとても魅力的に見えたからさ。」
「…」(みんなそれ言う…。)
「ナツキは、人も、悪魔も、死神も……いろいろ惹きつける能力のようなものがあるみたいだねぇ。まぁ、好かれて悪いことはないとは思うけど。」
「アンダーテイカーに好かれてよかった…。」
「いきなりどうしたんだい?可愛いこと言うじゃないかぁ。」
「…」
彼には感謝してもしきれないくらいだ。彼がいなければ、私は今頃この世界には存在していなかったわけだし、過去のことも、わからないこと、全て教えてくれた。わがままもきいてくれたし、死神とは思えないほど親切だ。
「アンダーテイカーは私を殺さないの?」
「どうしてそう思うんだい?」
「だって、時間をかけてせっかく蘇らせた人が、他の人のものになっちゃうなんて、もったいないと思わないの?」
「…小生は…。」
話しながらアンダーテイカーは私の寝転んでいるソファーに、腰をかけた。そして、私の頭を撫でた。
「君が笑っていれば、それでいいと思ったんだよ。」
「…」
「死神の小生に、あんな笑顔を向けて話しかけてきてくれた子は、初めてだったからねぇ。」