第14章 狂った執事
「アンダーテイカー。」
「ん~?」
「…好きな…人が出来た…みたい…。」
「…」
ただやはり、ドキドキして、誰にも取られたくない。そう思える人物はたった1人なのだ。アンダーテイカーに抱く「好き」とはまた別の好き。
悪魔に恋している私は、だいぶ重症なのかもしれない。
「そうかい……でも、寂しいねぇ~。」
「…?」
「小生だって、君のことが好きなのに。その人と小生の、何が違うんだい?」
「…わからない…。でも…なんか好き。」
魂が欲しいだけの悪魔なのに、こんなにも好きになってしまったのはなぜだろう。
きっと、彼と居る時間が、居心地が良い。そう感じるから。
「なんか、人間の言う、子が親の元から離れていく。みたいな感じがするよねぇ~。」
「…今日はここに泊まってもいい?」
「もちろん。ずっとここにいてくれてもいいんだよ~?」
「そうしたいけど、私、なんかメイド、クビになっちゃった…。」
「どうしてだい?」
「シエルが、強制的に辞めさせた。私はシエルの姉だから、同じ扱いを受けるみたい。」
「それは良かったじゃないか。」
「良くない。」
アンダーテイカーは不気味に笑っていた。
「執事君と過ごせる時間が長くなるじゃないか。」
「そ、そうだけど…。」
きっと、アンダーテイカーにはなんでもお見通しなのだろう。
私がセバスチャンのことを好きだということも…。